自然を守る運動をしている世界の皆様へ
「自然の叡智に学ぶ」というEXPO開催地で行われているもう一つの自然破壊を訴える手紙


 愛知EXPOが大規模な自然破壊のもとに行われたことをご存知でしょうか?市民の反対運動を無視してEXPOは開催されました。会場に隣接す る人口200万都市の名古屋市は、もちろん、強力にEXPOを推進しました。「自然」がこのEXPOのキーワードになっています。「自然を守る」という言 葉はいまや、自然破壊の免罪符的な言葉になってしまったようです。その一つの例を皆様に訴えたいと思います。
名古屋市の天白区には奇跡的に残った123.4haの相生山緑地があります。そこには様々な動植物が生存し、市民にとってなくてはならない憩いの場所に なっています。都市の中に残された自然は市民の快適な生活にとって非常に大切なものです。
今はヒメボタルのシーズンです。2年間地中に暮らし、3〜7日間、夜22時〜2時ぐらいの間、光を交わすことによって相手を探し、交尾し、そして死んでい くヒメボタルの姿が無数に相生山緑地では見ることができます。それは天の川のようにも美しく、宇宙のようにも神秘的な光です。夜中にもかかわらず、大勢の 市民が静かにヒメボタルの美しい光の点滅を見守っています。
中でも一番ヒメボタルの数が多い場所が、名古屋市の道路建設によって、破壊されようとしています。この山を横切る900メートルの道路。誰もが「何のため に造るの?」と疑問を持つ、意味のない道路です。私たち「相生山の自然を守る会」はどれだけ名古屋市にこのことを尋ね、抗議したか分かりません。名古屋市 は「自然に配慮した道路」を造ると言い、すでに道路建設を始めました。
そもそも道路建設と自然を守ることは両立しません。今、手をつけられているところは見るも無残に木が切り倒され、山肌が露出しています。やがてはヒメボタ ルの生息地も掘り返され、幼虫も餌のマイマイも死に絶えてしまうことでしょう。
私は外国から来るお客様や友達を必ず、この緑地に案内します。誰でも都市に残ったこの緑地を好きになります。そして名古屋市がここに道路建設をすることを 知ると怒ります。
EXPOの嘘、名古屋市の嘘を皆様に訴えたいと思います。ホームページのほかの場所にはもっと詳しく緑地のこと、ヒメボタルのこと、私たちの運動のこと、 道路建設のことが書かれています。
4月から5月にかけて、ドイツのミュンヘンからニコラス・エクルという20歳の若者が来ました。相生山で2,3日を過ごし、手紙を残して帰りました。彼の 手紙を紹介します。

「JRの駅から地下鉄で25分、そして何分か歩いたら緑地に着いた。桜が咲いていた。風にそよぐ木の葉のざわめきが心地よかった。そこで地虫、カブトム シ、その他の小さな昆虫を目にした。これらすべてがここに住んでいるのだ。ホタルもいると聞いた。
森の中を走り回る子どもたちを見たが、木の枝を持って遊んでいた。子ども時代に戻って、こんな楽しみを皆で分かち合えたらどんなにか幸せだろう。
帰り道、月と星を見ながら虫の鳴き声を聞いたとき、とても幸せな気持ちになっていた。200万都市の真ん中にある自然に浸って、素晴らしい時間を楽しむこ とができた。大都会の真ん中にこのような豊かな自然が保存されていることは驚嘆すべきことだと思う。ここに道路が建設されるということを聞いた。世界中、 どうして行政はそのような愚かなことをするのだろうか・・・と思った。
                      ニコラス・エクル
                      ドイツ・ミュンヘンの学生・20歳」

あるネパール人は、「日本にはもう、道路はいらないでしょう?特に、この相生山緑地には、必要がない。それだけじゃない、自然を壊す道路をここに作っては いけない。ネパールには道路を造ってほしいけど」と言いました。
世界中の自然を愛する皆様、
そして、EXPOに来た世界の皆様
自然を守りたいという私達の運動をご理解下さい。

home