2010年10月18日 名古屋市長 河村 たかし 様 相生山緑地の道路建 設に係る学術検証委員会委員各位 相生山の自然を守る会 事務局; 名古屋市天白区天白町野並相生28-341野田方
電 話 090-6337-1095
意見書 検証委員会の論議
が、「つくる必要がある道路なのか」との検証から乖離していると私たちは考え、ここに「意見書」を提出いたします。 基本的価値観としての「市民生活の質」(QOL) 検証委員会の開催も5回を数え、いよいよまとめの段階に入ったようだ。「問題項目シート」「分析データシー
ト」「分析データ解釈シート」「対策シート」「分析データ・対策 評価シート」(「オプション」)のマトリックス表を埋めていく作業が進められている。 これらの表の横軸に
はA:経済機会、B:生活・教育・文化機会、C:快適性・リラクゼーション、D:安心・安全性、E:環境負荷
性の5つ
項目が「市民生活の質(QOL)の維持・向上」の評価軸としてあげられている。縦軸には評価対象となる事業名があげら
れ、QOLを基本的価値観とする道路整備事業の評価が行われようとしている。このQOLの概念は、一般的に道路整備事業を評価するのに使われているが、
「相生山の道路問題」の検証にこのQOLシートを適用することが適切であるとは思えない。相生山の現状、地域の自然、歴史や独自性をどのように把握し、認
識した上での適用なのかが科学的に説明されていない。市長から検証委員会に付託されたのは「検証」であり、「道路整備事業の評価」ではない筈である。 マトリックス表 これらのシートへの書込みには、理解しがたい記述が多々見受けられるが、「分析シート」
によれば、必要とされる検査・解析は検証委員が追加したものが殆どである。これは名古屋市の道路整備計画が如何に不十分なデータで進められていたかを示す
もので、これによっても道路整備計画・実施の経緯の一端を窺い知ることができる。さらに、計画段階の経緯は、縦軸に都市計画審議会や専門家会等の項目を表
記することによって、その検討内容がより検証されるだろう。 「分析データ解釈シート」では、調査不十分のため「分析できず」「評価できない」等の記
載が半数近くに及ぶ。これらの記載をどのように考えるのかが重要であり、問われる内容である。 「回避」という視点からの学術的アプローチ これらの「分析できず」「評価できない」を背負って、どのように「相生山の道路問題」を 検証していくのか。「評価できない」「分析できない」ならば、事業が回避されなければならないというのは当然の帰結であるが、「回避」という視点からの学 術的な積極的アプローチこそが、いまの時代に欠如しているところであり、必要とされる科学的思考である。 「回避」から見える検証課題 この相生山緑地に道路を計画した根拠は、どこにあったのか? @ そもそも、道路が必要であるのか? A 緑地を壊してまでも建設すべき道路なのか? B 道路がなくてもよい状況・環境の変化とは何か? 「人間らしく生きる」 今回の「道路問題」は、「人間らしく生きることができる持続可能な社会とは何か」を投げ
かけている。利便性を求めての開発事業は、自然を壊してきただけではなく、日本人が培ってきた自然観さえも壊してきた。「自然を壊す」ことへの罪悪感さえ
なくし、場合によっては「自然を壊してもよい」との共犯関係をある意味で、「学術」が作り上げてきたと言えよう。 「経済性」・「快適性」に潜む「利便性」は、時間の短縮を求め、人間の精神性に負荷を与
えてきた。 自然と共生すること
の中に「人間らしい生活」を求めようというのが、21世紀をむかえた世界の趨勢である。ここで問われているのは「持続可能な地球」を支える「自然観」であ
る。 今、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が
開催されている。キーワードとする「里山」は、日本から世界に発信する「自然観」であり、歴史によって育まれてきたものである。 最後に 今一度、昨年に行わ れた市長との対話集会での市民の「相生山に対する想い」を一読いただきたい。 「ちょっといいたいわ」意見 http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/cmsfiles/contents/0000010/10654/postit-IITAIWA-web.pdf 「こういう相生山にしたい」意見 http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/cmsfiles/contents/0000010/10654/postit-SITAI-web.pdf
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