提言書に対する公開質問状 提出 名古屋市長・環境に配慮した道づくり専門家会宛

回答なし



2003年3月20日
名古屋市長 様                                                                                                             
                                         相生山の自然を守る会
                                     名古屋市天白区天白町野並相生28-341(野田方)
                                                     代表 近藤国夫
公開質問状
専門家会提言書は非科学的、客観性がないので無効とし、
地元住民と話し合いの場を作ってください。


はじめに、半世紀ほど前に計画立案された弥富相生山線について、開発から生態保全への価値観の変化や反対住民が多い中、名古屋市の建設ありきの姿勢は、地域に期待されるまちづくりや環境の時代の流れに逆行するものであり、遺憾であることを表明します。
さて、道路建設を急ぐあまり、相生山緑地の生態系調査も十分ではない状態で、専門家会へ提言書を求めることはするべきではありません。
また、環境に配慮したというのには、提言書はあまりにも非科学的であり、主観的であり、答申としては不十分です。そして、提言書には、市民の多数の反対意見が無視され、地元意見を歪曲して言及されています。よって、提言書を無効とすることを要請し、以下質問します。
以下提言書の詳細について質問。

○    ヒメボタルの影響を低減する根拠に事実誤認があり、非科学的です。
 “相生山の自然を守る会”の過去3年にわたる定例ヒメボタル鑑賞会では、道路建設予定地に当たる、人工林から竹林へと連なるあたりがその発生が一番おおく、通称ホタルのステージとし鑑賞会の中心地域としています。しかしながら、名古屋市によるたった一シーズン3日間の調査で、その場所でのヒメボタルの発生はそれほど多くないと報告されており、それを根拠に専門家会は提言にある線形がヒメボタルへの影響を緩和しているとしています。
ヒメボタルの発生時間や場所は、地域ごとによって多少のずれがあり、正確な生息の調査をするには、生息場所全域にわたって、1ヶ月前後、午後9時から午前3時の間の数年にわたる調査が必要になります。またヒメボタルの生息場所だけでなく、餌となるオカチョウジガイなどの生態調査も同時に行われなければなりません。オカチョウジガイの生息場所とヒメボタルの生息場所の関係についても数年の調査が必要です。
上記のように、ヒメボタル生息場所についての明らかな事実誤認があること、ヒメボタルやオカチョウジガイの生態調査もなされずに議論を進めたことは、非科学的であり客観性がありません。
どのようにお考えですか? お答え下さい。

○    人工林を「緩衝帯」とすることについて有効性が示されていません。
手入れがされずにあまり成長ができない人工林を緩衝帯として有効的に活用することを提言していますが、まず人工林を構成するヒノキの本数や、建設区間距離に対する人工林の距離の割合はそんなに多くなく、いったいどれだけ有効性があるのかわかりません。その効果を期待する以上、何らかの形で数値化し、提示されていなければなりません。有効性の根拠をお示しください。

○    道路建設に際しての予備工事について
提言には道路建設に際して作られる工事用道路についてなんら言及していません。名古屋市は工事道路や、付随する工事の全体像を明らかにする必要があり、専門家会はそれらに関しても言及されていなければなりません。どのようにお考えですか? お答え下さい。

○    住民意見を無視した歩道についての答申について
歩道について、「地元意見を集約した結果を踏まえて片側だけ設置」とありますが、専門家会が理解する地元意見とは、天白区役所講堂で行われた説明会でのアンケートを意味していると思われます。このアンケートの問題は昨年12月20日の抗議書でも明らかにしたように、地元意見の集約結果ではありません。多数の道路建設見直しの意見を無視し、ほんの少数の推進派の意見だけを地元意見とすることは、客観的ではなく、主観的であり、非民主的で認められるものではありません。したがって「地元意見を集約した結果を踏まえて」という文言は取り下げられなければなりません。
どのようにお考えですか? お答え下さい。

○    オオタカについて
オオタカについての配慮事項は、「繁殖期に騒音を出さない」などされていますが、営巣可能域を保護するための配慮とは異なることを指摘しておきます。オオタカは、現状での環境においてその営巣場所を選んでおり、道路建設による森の改変、道路供与による騒音、大気汚染振動その他の状況が変化すれば、森の生態も変化し、オオタカの営巣の可能性が今後どうなるかわかりません。特に100ヘクタールあまりの相生山緑地においては、森の面積がこれ以上減れば、オオタカの繁殖場所として適さなくなる可能性も考えなければなりません。提言書は工事により、可能性のある繁殖を妨害させないという観点ではなく、将来もオオタカの生息地として相生山緑地を守ってゆくという観点が必要です。どのようにお考えですか? お答え下さい。
2002年11月29日の地元説明会について

○ 11月29日の説明会は、だれが司会者なのかわからないままであります。また、アンケートに関しても十分な説明もなく、少数意見だけを汲み上げるために行われており、とても地元説明会を行ったといえるものではありません。地元説明会を正式に名古屋市が開催することを要請します。どのようにお考えですか? お答え下さい。

以上述べたように、この提言書は科学性・客観性にかけているのみならず、ヒメボタルの生息場所にたいする事実誤認や、住民意見の集約の歪曲があります。したがって、弥富相生山線道路建設の参考になるものではありません。よって、提言書は無効とし、今後、十分な環境調査とその影響予測を行い、専門家会が科学的・客観的答申が出来るよう努力をしてくだい。
また、私たちは名古屋市が、住民との話し合いの場を持つことを要請します。

尚、回答は2003年4月3日までにお願いします。     以上


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