名古屋市長宛の公開質問状 と 松原武久 名古屋市長の回答

11月25日付けで名古屋市長から回答がありました。
(回答は赤字で表示)

                                                                        2002年10月16日
    市長 松原武久 様

                                          相生山の自然を守る会
代  表  近藤 国夫
                                              事務局  名古屋市天白区天白町野並相生28-341 野田方
 電  話   090-6337-1095

公 開 質 問 状

  私たち「相生山の自然を守る会」は、いままで 都市計画道路「弥富相生山線」の建設計画について
名古屋市と話合い、また公開質問状を通して「都市における相生山緑地の位置づけ」「計画道路の必要性の根拠」「自然環境の保全への取組み」等について説明を求めてきました。しかし、未だ十分な回答がありません。また、「市民合意」は未だ、されておらず、「市民合意」についての名古屋市の取組みは、不十分であると言わざるを得ません。ここ1ヶ月の「相生山の自然を守る会」による街頭署名においても、「地権者だけの説明会であった」「道路ができるのは知らなかった」「洪水への影響がある」「もう道路はいらない」などの声が多く寄せられました。

  相生山緑地は、都市の中に残された貴重な「身近な自然」です。専門家会における専門家の発言にもありましたように、「一度自然を壊せば、二度と元にもどりません」。今を生きる私たちの自然環境に対する姿勢と責任が問われています。また、未来に生きる子ども達のために、自然を残すべき英知こそが求められています。

 ここに 改めて名古屋市に下記の質問をさせていただきます。誠意あるご回答を10月31日までにお願いいたします。



1. 名古屋市における相生山緑地の位置づけについて
@ 名古屋市の都市計画マスタ-プランには、「自然環境の保全と創出」がうたわれています。都市における自然環境 の重要性について、都市計画ではどのように位置づけていますか。

都市における自然環境は、都市構造の骨格を形成するとともに、CO2の吸収や大気の浄化、ヒートアイランド現象の緩和及び動植物の生息環境など都市の環境を維持・改善する機能、災害時における避難場所、延焼防止及び降雨時の流量の調整、洪水の防止などの防災機能、自然景観の構成や都市景観にうるおいを与える景観形成機能、市民が休息、散策、運動などに利用できる健康・レクリエーション機能など多様な機能を有しています。これらの機能を充分に活用するため、都市計画において、自然環境の保全と創出の方針を掲げるとともに、個別の公園緑地計画を定め、緑地保全地区、風致地区などの指定を行っています。

A 相生山緑地は、名古屋市の緑地指定により豊かに形成されてきました。名古屋市の中では残された貴重な豊かな緑地です。今日、自然を如何に守るかは緊急の課題となっています。環境インフラとしての緑地、子どもたちが命を育む環境としての相生山緑地を、どのように認識しているのか、お答え下さい。

 名古屋新世紀計画2010』において、相生山緑地は「市民が中心となって手入れし自然観察などさまざまな活動を行う」緑地として位置付けられております。現在、「相生山緑地オアシスの森くらぶ」「相生山緑地自然観察会」「相生山緑地オアシスの森公園愛護会」などの市民ボランティア団体を中心として、相生山緑地の手入れや自然観察などを行っており、今後もこういった活動を支援していきたいと考えています。

2. 計画道路の必要性の根拠について
計画道路は昭和32年に事業認可されたもので、45年前の認可です。今や、自然環境・交通事情等、名古屋市の様相も変貌し、市民の意識も変化し、ライフスタイルは変化してきています。今は自然の重要性が認識されている時代です。
@ 当時の認可理由をお示し下さい。

都市計画道路は、都市の骨格を形成し、円滑な都市活動を支え、また良好な都市環境をつくる重要な都市基盤施設として、一体的にネットワークされることにより、その機能・役割を十分に果たすものであり、これは、現在も過去においても変わりません。
 こうした理由から、市域全体として調和のとれた都市計画道路網の体系的な整備を進めています。


A 当時の決定事情には、野並・島田の交通渋滞があったとは考えられません。名古屋市が現在示している計画道路の必要性の理由と当時の認可理由がなぜ同じであると言えるのかお答え下さい。

2−@の回答に同じ

B 当時の都市の状況と市民の意識は、今と大きく変っています。当然、本件事業認可は、再検討されるべきだと考えますが、この点についての名古屋市の考えをお答え下さい。

2−@の回答に同じ

C 名古屋市は、計画道路の必要性として「野並・島田の交通渋滞の解消(緩和)及び菅田地区への車の入り込み解消(緩和)」をあげていますが、これら渋滞・入り込みの原因をどのように調査し、考察したのか、お答え下さい。

現在、弥富相生山線周辺は野並交差点や島田交差点等が渋滞しているため、朝の通勤時間帯には生活道路に多くの通過車両があります。愛知県公安委員会により生活道路には時間規制がされておりますが、進入してくる車によって、歩行者や自転車、特に通学途中の児童が交通事故の危険にさらされている現状となっています。こうした通過交通の進入問題や交差点における渋滞に対しましては、都市計画道路によるネットワークが整備されることによって、緩和されるものと考えています。
 交差点における渋滞状況及び生活道路への進入の現状については、現地において実測しています。「環境に配慮した道づくり専門家会」においても状況を説明するとともに、相生山交差点から昭和高校前交差点まで、4ルートで所要時間を実測し、弥富相生山線が完成した場合の所要時間の予測を行っています。

D また、どうような対策を今まで取ってきたのかお示し下さい。

前にも述べたとおり、通過交通の進入問題や特定箇所の渋滞に対しましては、都市計画道路によるネットワークが整備されることによって、自動車交通が分散し、緩和されるものと考えています。

E 上記の渋滞・入り込みが解消(緩和)するとしている根拠は、未だ示されていません。根拠は、市民が計画道   路を判断する上で最も基本的な検討資料であります。根拠の提示は、行政の市民への義務です。根拠をお示し下さい。

道路ネットワークは地域や都市全体の活動が円滑に営むことが出来るように計画配置されているものです。特定箇所に発生・集中している自動車交通は、ネットワーク全体が整備されることにより、分散されると考えています。
 また、「環境に配慮した道づくり専門家会」での議論の中で示したとおり、弥富相生山線が完成した場合には、現在より、自動車による移動時間が短縮されることから、特定箇所における渋滞や住宅地への通過交通の流入問題等は緩和されると考えています。


F 徳重までの地下鉄延長の計画、環状2号線の建設を考えると、当然、渋滞の緩和が大いに見込めます。これらの予測についてお答え下さい。

都市計画道路は一体的にネットワークされることにより、その機能・役割を十分に果たすものであるため、地下鉄整備による特定箇所の渋滞緩和の効果については予測していません。

G 「渋滞の緩和が必要だ」としながら、相生山方面からの野並行きのバスの本数が減少されています。渋滞を助長する矛盾する政策だと考えますが、この点についてお答えください。

市バス事業は、少子・高齢化の急速な進展、週休二日制の普及、長期にわたる景気の低迷などの理由により、乗車人員の減少傾向に歯止めがかからず、極めて厳しい経営状況にあります。さらに、平成14年4月からは学校週5日制が実施され、通学の学生を中心に乗車人員のさらなる減少が予想されることから、乗降客数の実情等を踏まえ、相生山方面から野並行きの野並11系統につきましても、このような理由により運行回数を見直したものです。

H 菅田地区への入り込みは、7:00-9:00規制があるにも拘らず違法進入が多くあります。この規制の取り締りをすることにより、入り込みがかなり軽減できると思います。名古屋市はどのように対処してきたのか、地区の住民とどのように取組んできたのか、お答え下さい。

朝の通勤時間帯における通過車両の生活道路への進入対策については、愛知県公安委員会により時間規制を実施しています。また、山根学区では海老山町の方々や菅田地区の方々などが通学路の安全確保に努めているとお聞きしています。
 弥富相生山線を始めとした幹線道路を整備することにより、道路ネットワーク全体を完成させ、地域全体の円滑な交通の流れが確保できるようになれば、生活道路への進入は改善されると考えます。


3. 計画道路が出来た時の生活環境等の影響について
@ 道路が出来ることにより多くの車をそこに呼び込むことになります。つまり菅田地区への入り込みが逆に増えることが予想されます。入り込みへの対策をどのように考えているのか、お答え下さい。

道路の整備に合わせ、生活道路へ進入してくる自動車交通の対策については愛知県公安委員会とも十分協議を行い、規制の方法や取り締まりの強化について調整していきたいと考えています。

A 新たな渋滞が、「久方」・「久方2」・「昭和高校前」交差点等周辺で生じることが予想されます。新たな渋滞の発生をどのように予測しているのか、お答え下さい。また、どのような対策を考えているのか、お答え下さい。

「環境に配慮した道づくり専門家会」において、弥富相生山線を整備した場合の相生山交差点から昭和橋交差点までの所要時間調査と予測を行ったところ、現在より所要時間が短縮する結果が算出されました。また、幹線道路の整備を進め、道路ネットワークが完成すれば特定箇所の集中交通は分散されると考えます。

B 計画道路周辺には、山根、相生小学校があり、車の増加によって子どもの生活圏に危険が増大します。また、排気ガス・騒音が増え、周辺の生活環境が悪化することは、明らかです。道路が出来ることによる生活環境の変化をどのように予測しているのか、お答え下さい。また、どのような対策を考えているのか、お答え下さい。

弥富相生山線を整備することによって、移動時間が短縮されたり、災害時の避難道路として利用できるなど、より快適で安全な都市活動を図ることが出来るため、地域全体で考えれば生活環境は良くなると思われます。

C 相生山緑地と天白公園を繋ぐ緑道の計画によれば、緑道が計画道路と重複していると思われますが、緑道の役割と計画を詳しく説明してください。

緑道は、みどり豊かな、安全で快適な歩行者、自転車のための道で、散歩やサイクリングなどが楽しめる空間です。また、都市環境の改善や景観の向上や、災害時には避難路や延焼防止帯としても役立つものです。ここで計画している緑道は、既設の道路の歩道を改良して相生山緑地、天白公園、荒池緑地を結ぶもので、都市計画道路の整備と重複するものではありません。

D 計画道路建設と緑道は、都市計画において矛盾する計画だと思いますが、どのように考えているのか、お答え下さい。

都市計画道路は都市計画施設の一つとして計画し、整備するものです。緑道は都市計画施設ではなく、名古屋市基本計画に基づき「ゆとりとうるおいのあるまち」を実現するために、主に既設道路の歩道を活用して緑化を推進するものです。ここで計画されている緑道と都市計画道路の計画とは矛盾していません。

4. 「自然環境の保全」に対する取組みについて
@ 自然環境の保全を確たるものにするには、相生山の生態系を調査することは必要不可欠であります。しかし、名古屋市による調査は、計画道路沿いの限られた範囲であり、それも限られた時期での調査であります。ヒメボタルの調査にしても生態系を把握するには余りにも不十分です。名古屋市は「これ以上の調査をしない」としていますが、納得できません。「自然環境の保全」に対する名古屋市の考えをお答え下さい。

『名古屋新世紀計画2010』において、名古屋がめざすまちのイメージの一つとして「循環型環境都市〜エコライフなごや〜」を掲げ、生活環境から地球環境まで幅広い視野に立ち、環境保全活動が活発に行われるよう、なごや環境塾の開催、野外体験、市民科学活動など、さまざまな機会を通じて環境教育・環境学習を推進しています。また、環境に配慮した事業活動を促進するとともに、率先して環境付加の軽減に努めています。

A 都市の中の緑地は、人々の生活と関わりをもつ社会的な基盤となる施設でもあります。環境を構成する環境インフラとしての緑地です。空気の清浄化・騒音の削減・大気汚染の減少・暑熱緩和効果・ヒ-トアイランドの解消などの役割が、この緑地にあります。特に、先の東海豪雨では、相生山緑地の保水力の効果が指摘されています。道路ができることによる保水力の減少・鉄砲水の発生等は、緑地の生態系に影響を与えるのみでなく、緑地周辺に大きな被害をもたらすことが予想されます。この点についてどのように検証しているのか、お答え下さい。

相生山緑地及び弥富相生山線の計画地は、都市計画法や砂防法などにより一定の制限がかけられています。弥富相生山線の整備が地域に負担を掛けないよう、雨水流出抑制対策を行います。

B また、どのような対策を考えているのか、具体的にお答え下さい。

弥富相生山線の整備に伴う事業面積から、砂防法の手続きに基づき必要な調整施設を設けます。

C 相生山緑地は、子ども達の遊び場であり、生きもの(動植物・昆虫・鳥類)と接する貴重な空間であり、市民の憩いの空間としても親しまれています。道路建設による生きものへの影響、場・空間の喪失をどのように把握しているのか、お答え下さい。

弥富相生山線の整備は『名古屋新世紀計画2010』において、「自然環境等に配慮した道路の整備」と位置付けられていますので、弥富相生山線の建設に伴う自然環境への影響を、出来るだけ少なくするような整備計画を策定したいと考えております。
    
D 緑地の役割である空気の清浄化・騒音の削減・大気汚染の減少・暑熱緩和効果・ヒ-トアイランドの解消などの社会的損失をどのように考え、対策をどのように検討しているのか、お答え下さい。

弥富相生山線の建設に伴う相生山緑地全体に対する改変面積率はごくわずかですが、弥富相生山線の整備にあたって、多様な課題への対応や環境への配慮について「環境に配慮した道づくり専門家会」で専門家の方々から、専門的な見地から助言や提言を受け、整備計画を策定しているところです。

      
5. 「環境に配慮した道づくり専門家会」について
@ 専門家会の専門家は4名のメンバ-で構成されていますが、どのような観点にたって、どのように選ばれたのか、お答え下さい。

「環境に配慮した道づくり専門家会」は、主に、相生山緑地などで研究活動をされたことのある専門家の方で構成しています。

A 第1回専門家会において、市から環境調査・事業計画案についての説明後、各専門家からこれらに対する意見・指示が出されています。
・ 「道路ができることにより環境がどう変り、どのように動植物に影響がでるのかの影響評価を(名古屋市は)どのようにくだし、これからどうしていくつもりか」
・ 「雑木林は、貴重な環境を形成している。比較的狭い緑地で、真ん中でスパンと切られてしまうと、かなり影響がでる。」
・ 「開削されることによるまわりの乾燥化で、ヒメボタルのエサのオカチョウジカイの生育環境がものすごく悪くなる。ヘッドライトの光の影響がヒメボタルの存続を危うくする」
・ 「都市の中でせっかく残った緑地を一度壊してしまえば永遠になくなる。将来に残していけるように考えなくてはいけない」
・ 「地質的には道路敷地になるところは均一で、自然の均一性がどの様に破られるのか気になる」
・ 「自然が豊かにあるなかに道路をつくる場合、自然の連続性がどうなるのか非常に気になる」 など、相生山緑地全体の生態系の把握、道路が出来ることよる影響の把握が、基本的に求められています。これらに対し、第2回専門家会において、市から説明された「まとめ」は、7項目に分けられ、4点に分類されています。さらに予定地を5つのゾ-ンに分けて、森全体等の説明としています。これでは専門家から指摘されているような相生山全体の生態系を把握することにはなっていません。第3回専門家会においても、ル−トを変更した場合等の案の比較検討の話に終始しております。
    「相生山緑地全体の生態系の把握」、「道路が出来ることよる影響の把握」をどのように検証してまとめる予定でいるのか、お答え下さい。

弥富相生山線を建設することによって、影響を受ける可能性のある環境要素を、これまでの調査をもとに、その影響を整理し、出来る限り環境に与える影響が少ない整備計画を策定していきます。

B 市民もこれらの問題に対して大きな関心を抱いております。専門家と市民との質疑応答の機会が必要と考えますが、専門家会ではどのように考えているのか、お答え下さい。

現在行っている「環境に配慮した道づくり専門家会」の設置要綱では、専門家と一般市民の方が直接意見を交換する機会は設けられていませんが、「環境に配慮した道づくり専門家会」での議論が進展しましたので、11月29日に説明会を行います。

6. 市民合意について
@ 道路が出来ることによる直接的な生活への影響は、地元の人たちに根拠を持って説明されるべきであり、その上で地元住民の合意が必要となります。さらには、相生山緑地は都市に残された数少ない豊かな自然であり、市民の財産であると同時に、未来の子ども達のものであります。計画道路に対して、相生山に親しむ市民の合意が必要です。このことに対する名古屋市の認識をお答え下さい。

弥富相生山線も相生山緑地も、都市計画決定された都市施設です。相生山緑地は現在、一部しか事業化されていませんが、将来的には123.4haが都市緑地として整備されます。緑地も大切ですが、道路も都市の施設として必要なものです。双方を調整しながら整備を進めたいと考えています。

A 三学区(山根・相生・野並)の区政協力委員長及び天白住みよくする会会長名義で建設促進要望書が三学区で回覧され、署名が集められた問題に対して、名古屋市は「問題ない」とし、「要望として受け止める」と言っています。このことについて、大きく二つの点についてお尋ねします。ひとつ目は、要望書の文面についてです。「野並・島田の渋滞により各学区の道路に交通規制を無視した通過車両が進入し、通学時間帯の学童の安全や、住宅内の安全で快適な生活が脅かされています。このような状況を解消するためには…」とあり、道路が出来れば上記の問題が解消すると断定的に書かれています。しかし、名古屋市は解消の根拠を、市民に示しているわけではありません。住民が十分にこの問題について話合ってもいません。この文面により 「解消できる」と思い込んで署名した人たちも多いと思いますが、このような文面で集められた要望書をどのように考えているのか、お答え下さい。
    次に、公的機関としての区政協力委員会のありかたについてお尋ねします。「区政協力委員は、 住民の意見を市・区政に反映させるために置かれている」としていますが、これは、住民の意見が十分に反映された要望書ではありません。住民の意見は、賛成・反対に分かれていて、「建設中止を求める要望書」が10,326名分の署名とともに提出されていました。両者の意見が公平に反映されないような偏った要望だけを、一方的に区政協力委員長名義で回覧する行為は、公的組織としての役割を放棄するに等しいとしか思えません。区政協力委員会の今回の行為につ いて、いかに考えているのか、お答え下さい。

都市計画決定された幹線道路は、交通機能、市街地形成機能、空間機能などの機能を持っており、各々の道路が十分に役割を果たすとともに、道路ネットワーク全体として、地域や都市全体の活動が円滑に営まれるように計画配置されています。弥富相山線も多様な道路機能を持ち、道路ネットワークの一翼を担っていますので、特定箇所に発生・集中する自動車交通をネットワーク全体として受止め、地域全体として円滑な交通の流れが確保できるようになれば、住宅地への通過交通の進入も緩和できると考えます。
 区政協力委員は、市区政に係る情報を住民に伝達し、住民の市区政に関する意見を反映させるなど、住民の市区政への積極的な参加を期するために置かれており、その職務に関連して、要望活動やそれに伴う署名活動を行うことは差し支えないものと考えています。


B 一昨年の山根小学校における説明会において、名古屋市は「話合いの場」を持つことを約束し、「メンバ-については検討する」としていましたが、未だ実現されていません。また、土木交通委員会、市議会においても「合意」に対する取組みの必要性が議論されています。
早急に、道路計画に関わる市民との「話合いの場」を設けることを要望します。また、この「話合いの場」の周知については、広く、余裕ある期間をもって市民に呼びかけていただきたい。
名古屋市の取組みについて、お答え下さい。

現在行っている「環境に配慮した道づくり専門家会」での議論が進展しましたので、11月29日に説明会を行います。

以上


「環境に配慮した道づくり専門家会」専門家各位(4名)宛
林     進    様
岡村   譲    様
大竹   勝    様
藤田  素弘   様
2002年10月16日提出

回答なし

                                                                        2002年10月16日
                       様

                                          相生山の自然を守る会
                                              代  表  近藤 国夫
                                              事務局  名古屋市天白区天白町野並相生28-341 野田方
                                              電  話   090-6337-1095

公 開 質 問 状

  私たち「相生山の自然を守る会」は、2002年6月12日付けで貴殿に「ヒメボタルの調査」について質問をさせて頂きましたが、回答がないままになっております。3回までの専門家会の内容に対する質問も合わせて再度、下記のように質問させていただきます。

  私たち「相生山の自然を守る会」は、いままで「相生山の自然を未来の子どもたちに残そう」と様々な活動をしてきました。一昨年の9月22日には、名古屋市に「相生山緑地を横切る道路、弥富相生山線の建設中止を求める要望書」10,326名分の署名を提出しました。また、ここ1ヶ月の「相生山自然を守る会」による街頭署名においても、「地権者だけの説明会であった」「道路ができるのは知らなかった」「洪水への影響がある」「もう道路はいらない」などの声が多く寄せられました。
  相生山緑地は、都市のなかに残された貴重な「身近な自然」です。一度自然を壊せば、二度と元にもどりません。今を生きる私たちの自然環境に対する姿勢と責任が問われています。未来に生きる子ども達のために、自然を残すべき英知こそが求められています。

  ここに 名古屋市長宛ての公開質問状(2002年10月16日付け)、先回の質問状(2002年6月12日付け)を添付いたしました。私たち「相生山の自然を守る会」の道路計画に対する意見を汲み取っていただき、誠意あるご回答を10月31日までに頂けますよう、よろしくお願いいたします。



1.「自然環境の保全」に対する取組みについて
@  自然環境の保全を確たるものにするには、相生山の生態系を調査することは必要不可欠であります。しかし、名古屋市による調査は、計画道路沿いの限られた範囲であり、それも限られた時期での調査であります。ヒメボタルの調査にしても生態系を把握するには余りにも不十分です。名古屋市はこれ以上の調査をしないとしています。「自然環境の保全」に対する調査についての考えをお答え下さい。
A 先回の質問(2001年3月に出された環境調査は猛禽類の調査、植物ではコクラン、ウンヌケ等が抜けています。相生山全体の環境調査が必要と考えますが、専門家会の方々はいかがお考えですか)に対しての市長からの回答は、「環境に配慮した道づくり専門家会設置要綱」では、「専門家会は必要に応じて調査をすることができる」としています。今後どのような調査を予定されているのか、目的とその調査要領をお答下さい。
B 都市の中の緑地は、人々の生活と関わりをもつ社会的な基盤となる施設でもあります。環境を構成する環境インフラとしての緑地です。空気の清浄化・騒音の削減・大気汚染の減少・暑熱緩和効果・ヒ-トアイランドの解消などの役割が、この緑地にあります。特に、先の東海豪雨では、相生山緑地の保水力の効果が指摘されています。道路ができることによる保水力の減少・鉄砲水の発生などは、緑地の生態系に影響を与えるのみでなく、緑地周辺に大きな被害をもたらすことが予想されます。この点についてどのように検証していくのか、お答え下さい。
C また、どのような対策があるのか、具体的にお答え下さい。
D 相生山緑地は、子ども達の遊び場であり、生きもの(動植物・昆虫・鳥類)と接する貴重な空間であり、市民の憩いの空間としても親しまれています。道路建設による生きものへの影響、場・空間の喪失をどのように把握しているのか、お答え下さい。
E 緑地の役割である空気の清浄化・騒音の削減・大気汚染の減少・暑熱緩和効果・ヒ-トアイランドの解消などの社会的損失をどのように考え、対策をどのように検討されるのか、お答え下さい。  

2.「環境に配慮した道づくり専門家会」について
@ 第1回専門家会において、市から環境調査・事業計画案についての説明後、各専門家諸氏からこれらに対する意見・指示が出さています。
・ 「道路ができることにより環境がどう変り、どのように動植物に影響がでるのかの影響評価を(名古屋市は)どのようにくだし、これからどうしていくつもりか」
・ 「雑木林は、貴重な環境を形成している。比較的狭い緑地で、真ん中でスパンと切られてしまうと、かなり影響がでる」
・ 「開削されることによるまわりの乾燥化で、ヒメボタルのエサのオカチョウジカイの生育環境がものすごく悪くなる。ヘッドライトの光の影響がヒメボタルの存続を危うくする」
・ 「都市の中でせっかく残った緑地を一度壊してしまえば永遠になくなる。将来に残していけるように考えなくてはいけない」
・ 「地質的には道路敷地になるところは均一で、自然の均一性がどの様に破られるのか気になる」
・ 「自然が豊かにあるなかに道路をつくる場合、自然の連続性がどうなるのか非常に気になる」など、相生山緑地全体の生態系の把握、道路が出来る事よる影響の把握が、基本的に求められています。これらに対し、第2回専門家会において、市から説明された「まとめ」は、7項目に分けられ、4点に分類されています。さらに予定地を5つのゾ-ンに分けて森全体の説明としています。専門家から指摘されているように相生山全体の生態系を把握することにはなっていません。第3回専門家会においては、ル−トを変更した場合等の案の比較検討の話に終始しております。「相生山緑地全体の生態系の把握」、「道路が出来る事よる影響の把握」を今後どのように検証してまとめられる予定でいるのか、お答え下さい。
A 市民もこれらの問題に対して大きな関心を抱いております。専門家と市民との質疑応答の機会が必要と考えますが、専門家諸氏はどのように考えているのか、お答え下さい。
                                                                             
                                                                          以上

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