名古屋市に抗議書提出  名古屋市長宛



名古屋市長殿                                                                   2003年6月11日
   
                                                                              相生山の自然を守る会
                                                  名古屋市天白区天白町野並相生28-341(野田方)
                                                                   代表 近藤国夫                                
                                  
市民の意見を無視して相生山緑地に道路施工計画を進めている
名古屋市に抗議するとともに道路計画を白紙に戻すことを要求する


 去る5月20日に、第6回専門家会が開かれたが、この専門家会は、市民との合意なしに道路建設を強行しようとしている名古屋市の姿勢を免罪するものである。
 これまでの5回にわたる専門家会の提言を受け、名古屋市は設計原案を出してきた。その内容は「環境に配慮した道路」と称しているが、相生山緑地の生態系そのものに対しては、配慮したものとはなっていない。5回の専門家会の記録を見ると、生態学の専門家が入っておらず、デ−タをもとに十分に検討した形跡が認められない。ヒメボタルサミットin愛知(5月25日に名古屋市科学館で開催)では、名古屋市の非科学的な姿勢がはしなくも明るみに出た。すなわち、名古屋市は、相生山緑地におけるヒメボタルのたった三日間の調査結果をもとに、ヒメボタルの生息密度を発表した。それに対して、ホタルの研究者から、十分な結論を出すためには、エリアごとにヒメボタルの発生から最盛期、そして終わりにかけての調査、生息地の背景となる環境調査、成虫のモニタリング調査、および長期的な継続調査の必要性が指摘された。
 私たち「相生山の自然を守る会」は、5回にわたる専門家会の内容に疑問をもち、公開質問状を出したが、それに対して誠意のある回答はついに得られなかった。私たちは、10000人を超える市民から得た道路建設反対の署名を名古屋市に提出したが、少なくともこれらの市民に納得のいく説明があってしかるべきである。
 第6回の専門家会において、名古屋市は、道路工事施工にあたって「施工ワーキング」を設けて市民参加を図ると言う。専門家会はこのことを「全国に先がけての市民参加システム」だと自画自賛している。しかし、専門家会そのものが市民参加を排除したシステムとなっている不合理には気づいていない。この専門家会の場で、林進インスペクターは「施工ワ−キング」に関して、「このシステムを破壊するものは敵とみなし、断固戦う」という発言をしたが、これは市民の自由な意見を封じる高圧的な態度で、市民参加を求める人間の言葉とはとうてい受け取れない。このような市民排除のもとでの事業の進め方は、環境影響評価法や新生物多様性国家戦略の精神に著しく反していると言わざるをえない。
 相生山緑地では、子供や老人も含めて大勢の市民が自然を享受している。名古屋市は、このような点を無視し、道路という人間の利便性だけを問題にしているばかりでなく、市の主張する交通渋滞の緩和という理由にも科学的な根拠が示されておらず、市の計画には根本的に疑義がもたれる。
 以上のことから、市民無視あるいは市民敵視の名古屋市および専門家会の態度に抗議するとともに、相生山緑地を評価する上で不適切な専門家会を廃止することと、道路計画を白紙に戻すことを要求する。


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