2009年8月28日提出
2009年9月11日回答

公 開 質 問 状

名古屋市長 河村たかし 様
2009年8月27日
相生山の自然を守る会
代表   近藤 国夫
名古屋市天白区天白町野並相生28−341
相生山徳林寺内 携帯;090-6337-1095
 

「道路建設の即時凍結」を要望します

市長にご就任後4ヶ月経ち、2010年開催の「COP10」(生物多様性条約第10回締約国会議)が日一日と近づいている中、「新しい名古屋」を目指して の益々のご尽力、大いに期待しております。

私たち「相生山の自然を守る会」は、環境を守る立場で相生山緑地における道路建設に反対活動をしている市民グループです。私たちは、市長就任直後の5月 12日に公開質問状を提出し、「相生山緑地を横切る道路建設の見直し」及び「環境行政の問題」等について回答を求めました。残念ながら回答は未だ頂いてお りません。
マスコミの報道によりますと、市長はこの建設中の都市計画道路「弥富相生山線」問題について6月22日の定例記者会見で「よく調べて考えたい。もう少し 待ってほしい」と述べたとされていますが、今も道路建設工事は続行中であります。更なる工事によって、ヒメボタルの生息地が直撃されようとしています。こ こに、改めて「道路建設の即時凍結」を要望します。
また、市長は「地元には早く開通してほしいとの意見もある」と話したとされていますが、この地元の要望等について下記の様に質問をいたしますので、ご多忙 中のことと思いますが、先の質問と共にご回答くださいますようお願い申し上げます。



「地元三学区の約8割が道路促進」とした
名古屋市の作為的データに基づく道路建設 について 

いままで名古屋市が道路建設の拠り所としていた「地元の意見」とは、2000年に市に提出された「道路建設促進の署名」を指しているようです。これは、 2004年の1月26日に行われた「都市計画審議会」の議事録に明確に記載されています。
《委員;・・・地元がどのくらい建設促進で、どのくらい建設反対なのか。数がわかればお聞かせいただきたい。幹事;・・・平成12年9月に、先ほどの建設 中止と促進の要望書をそれぞれ1万名と7千名の署名つきでいただいています。この署名者のうち地元住民である山根、相生、野並の三学区の方をピックアップ いたしますと、建設中止の方の署名は1、900名でございますが、建設促進の方の署名は6、700名となっております。この数字で見る限り、地元三学区の 皆さんにつきましては、約8割の方が早期整備を望んでおられると考えております。》
しかし、当時名古屋市に問い合わせた資料によりますと、地元三学区の総人口は、24、378名(相生4、125名、山根8、844名、野並11、409 名)であり、促進署名数は6、832名(相生1、075名、2、907名、2、850名)ですので、その割合は、28%となります。

1. あたかも地元の意向が道路促進であるかのような「都市計画審議会」における名古屋市の説明は、決を取るときの委員たちの発言に影響を及ぼしています。
《委員;・・・基本的な決定態度としては、要求の態度に鑑みて決定を下すということになるかと思います。委員;いま、委員のほうから、地元の意見はどうか というお尋ねがありました。
7〜8割の方々が早期整備を望んでいるとのことですね。・・・》 
このように作為的に数字を操作した「八割発言」に基づいて行われた「都市計画審議会」の決定は、不当であると私たちは考えます。事実関係を確かめた上で、 市長のお考えをご提示願います。

2. 私たち「相生山の自然を守る会」の要望書は、「未来の子どもたちに豊かな自然を残そう」に賛同した人たちの署名です。一方「促進の要望書」は、生活道路へ の車の入り込みを憂慮し、安全性を道路建設に求め、回覧板で集められた署名です。それぞれ異なる主張の要望書を「賛成者数・反対者数」の土俵に無理やり上 げての説明やそれに基づく論議は、住民・市民が本来、求め願っていることからかけ離れた結果になると思いますが、市長はどのようにお考えですか?

3. この「促進の要望書」が「三学区の区政協力委員長・天白を住みよくする会会長」の名義での回覧により署名が集められた問題についてお尋ねします。
回覧を利用しての署名集めに対して、私たち「相生山の自然を守る会」は、区政協力委員長等に抗議し、名古屋市にお尋ねしましたところ、『区政協力委員は、 市区政に係る情報を住民に伝達し、住民の市区政に関する意見を反映させるなど、住民の市区政への積極的参加を期するため置かれており、その職務に関連し て、要望活動やそれに伴う署名活動を行うことは差し支えない』との回答をもらいました。つまり、回覧板を回した区政協力委員は、「市区行政の協力を行っ た」(区政協力委員規則の第2条の3)に過ぎず、名古屋市から求められた職務を行ったことになり、署名は地元からの自発的なものではないという証明になる のではないでしょうか。
事実関係を確かめた上で、市長のお考えをご提示願います。

4.「地元」とは相生・山根・野並の三学区だけでしょうか?
相生山緑地を名古屋市における貴重な自然が残っている場所だと考えれば、緑地はもっと広い範囲の人々のものであると思います。
また、この建設道路「弥富相生山線」の予測交通量は、1日1万台以上とされています。このことは、静寂な相生山緑地を損ない、多大な交通量の増加により 「弥富相生山線」周辺に様々な影響が出ることが予測されます。本来ならば、行政は道路建設による「生活圏への影響」「影響が出る範囲」「相生山緑地への影 響」等を調査し、特に関係する地域住民に情報提供し、広く市民に問う姿勢と体制が必要と思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか?

5. そもそも2種類の署名は、道路建設の賛否を問うと言う目的で提出されたものではありません。
また、名古屋市は「弥富相生山線」建設についての意見を三学区の住民に求めたことは一度もありません。然るに2種類の署名を、名古屋市は都合の良いように 解釈して「都市計画審議会」への説明に利用したことは明らかです。
市民の意向が「道路建設決定」において重要であることは、言うまでもありません。
道路建設中の今、「道路建設続行」の賛否を市民に問うことが必要と考えます。
市長は、この件について賛否をとる意向がありますか?


道路建設における相生山の生態系への影響を調査することを再度要望します

この「都市計画審議会」では、整備計画についての説明も委員に対して行われています。
『整備計画については、環境に配慮した道づくり専門家会を設置し、約1年半の年月をかけて様々な検討を十分してきている。説明も十分している』としていま すが、その実態は、市民を無視した形だけのセレモニーにすぎませんでした。私たち「相生山の自然を守る会」は、その1年半余の年月、「環境に配慮した道づ くり専門家会」と名古屋市に対して、2002年10月16日付け、同年12月3日付け、同年12月20日付け、2003年3月20日付け、同年6月11日 付けの抗議書・要請書・質問状を提出し、「専門家会の説明会」時に行われた名ばかりのアンケートやこれによってまとめられた「提言書」の専門性の疑義等を 指摘してきました。

6. 相生山緑地の生態系の影響については、第1回専門家会の時に問題提起としてはありましたが、それ以降検証がされないまま工事に突入しました。今からでも遅 くありません。生態系の専門家たちに協力を求め、生態系への影響を調査することを早急に始めることを要望いたします。


20年後、50年後を見据えた地球、そして名古屋市を視野に入れ、早々にお答えいただけますことを願っております。

                                         以上