赤字 は名古屋市の回答

2004年7月14日
名古屋市長 松原武久 様
相生山の自然を守る会
                        名古屋市天白区天白町野並相生28-341(野田方)
                                  代表 近藤国夫 

環境問題等に対する名古屋市の姿勢に関する

公開質問状

相生山緑地(約130ha)を横切る都市計画道路「弥冨相生山線」の工事予 定を知って以来、私たち「相生山の自然を守る会」は、道路建設による相生山の自然破壊を危惧し、数々の公開質問状及び要請を名古屋市長に提出してきまし た。相生山緑地に対する影響、道路の必要性、市民合意そして工事着工に伴う手続きなどについて質問をしてきましたが、市長から具体的な根拠を示した回答は 未だ受け取ってはいません。これらの根拠を示さないまま、また、市民への説明責任を十分果たさないまま、名古屋市は、工事の一部を着工しています。一方で 「環境都市なごや」・「市民とのパートナーシップ」を標榜し、一方でこれらの理念を裏切る名古屋市の姿勢は問われなくてはなりません。

地球環境が危ぶまれ「環境の世紀」と言われる今、行政は、率先して環境問題に具体性を持って取り組み、自然を守ることを市民に働きかけなければなりませ ん。「弥冨相生山線」の道路建設に先立ち、名古屋市は、当然十分な環境調査を行い、相生山緑地を保護・保全する設計を完了した上で工事は着手されるべきで す。しかし、情報公開によって提供された資料などからは、名古屋市の環境問題への取組み等に関して、様々な疑問が浮かび上がりました。ここに、下記のよう に質問いたしますので、誠意あるご回答をお願いいたします。

日頃は、本市の行政にご協力賜りまして厚く御礼申し上げます。
7 月14日付書面による質問に対し、次のように回答いたします。



1.地球温暖化防止のための京都議定書の批准、ICLEI(持続可能性をめ ざす自治体)への参加など地球規模での環境分野への具体的取組みが非常に重要になってきています。名古屋市が環境問題に関して取組んでいる条約・協定、参 加している諸団体、法律などをお答えください。
地球温暖化防止のために、地球温暖化対策推進法が定められてお り、この法律には地方公共団体の責務が定められております。 本市においては環境基本条例、環境保全条例及び地球温暖化防 止行動計画により、地球温暖化防止に積極的に取り組んでいる ところです。また、本市では、地球温暖化問題に関する内外の 自治体との情報交換・国際交流を行うためにICLEIに加入を しております。

2.また、ICLEI(持続可能性をめざす自治体)憲章には、地域 活動の指針として生態系の保護等16項目からなる地球憲章原則の推進が挙げられていますが、名古屋市の取組みを具体的にお聞かせ下さい。
本市では、ICLEIに加入し、主に地球温暖化問題に関する内外の自治体との情報交換・国際交流を行っています。なお、ICLEI憲章の行動原則に掲げられた生態系の保護等に関連する施策としては、ビオトープ事業野鳥保護区・緑地保全地区の保全、市内の絶滅のおそれのある野生生物を取りまとめたレッドデ一夕ブックなごやの作成等に取り組んでいます。

3.都市計画道路「弥冨相生山線」の設計が「環境に配慮した」もの とされていますが、道路建設による環境への影響は調査されていません。どのような環境を、どのように「配慮」したとしてこのように言っているのか、お答え ください。また、生態系が保護されるとする調査・根拠をお示しください。
「環境に配慮した道づくり専門家会」における検討の結果として、@森林へ
の影響を低減するため、道路幅員を必要最小限に狭める、A盛土部への「擁壁」、切土により大きな法面が発生する箇所への「シェルター構造」、沢筋を分断する箇所への「橋梁」等の構造物を採用する、Bヒメボタルや雑木林への影響を低減するため、一部線形を変更することなどの提言をもとに設計を行いました。これにより相生山緑地の自然環境への影響は最小限のものとなり、道路建設と自然環境の保全との調和を図れるものと考えています。

4.「環境に配慮した」とするルート変更は、檜人工林を緩衝帯とし て残すためと説明していますが、その檜人工林は現在、何メートルの幅・奥行きで何本ありますか。また、道路建設によって何メートルの幅・奥行きになり、何 本残りますか、お答えください。
林縁部の後退を避けるため「緩衝帯」として維持するヒノキ人工林は、現
在、幅約16メートル、奥行き約130メートルで340本を立木調査の範囲において把握しています。また、道路建設により、幅約10メートル、奥行き約130メートルとなりますが、本数につきましては施工方法等により変動するため確定していません。

5.名古屋市は、道路建設に当たり、胸高直径0.1m以上の立木調 査を行っています。これによれば道路中心線より左右12.5mの範囲で1333本の立木がありますが、この内道路建設によって何本切る予定なのか、お答え ください。また、これらの樹木以外の低木についてもお答えください。
立木調査の樹木を切る本数については、構造物の施工方法等により変動す
るため確定していません。また、低木については現在調査を行っており、移植も含め詳細に検討していきます。

6.道路建設に伴う仮設道路や沈砂池の設置などにより、道路以外に も緑地の改変されます。改変される全ての面積、切土・盛土の容量をお答えください。
現在、道路建設に伴う行為面積は約1.6ha、切土は約15,000m3、盛土量
は約11,000m3と算定しています。

7.また、樹木の伐採に伴うCO2の排出と吸収効果の喪失やその処 分及び道路建設のために排出する温室効果ガス(CO2など)の量をどのように試算しているのか、お答えください。
樹木の伐採に伴うCO2の排出と吸収効果の喪失やその処分及び道路建設の
ために排出する温室効果ガス(CO2など)の量は、試算していません。

8.「ヒメボタル調査」と称し、ヒメボタルの生育分布状況の把握を したとして「道路線形を検討」したとしています。しかし、その検討に使われた資料は「発生頻度」としてデータ処理されたものであり、この「発生頻度」と は、40m四方を1ゾーンとして、調査日毎に1匹以上ホタルが観測されたゾーンを1とし、それ以外を0として3日分を加算した結果をいう。つまり、「道路 線形の検討」は、観測数0〜3の4段階段で色分けされたメッシュ図で検討されたものであり、発生状況の実態とかけ離れたデータに基づいています。また、こ の調査は、22時から24時までの3日間の調査であり、しかも30秒間観測して目視できた数の記録であり、ヒメボタルの生態・環境調査ではありません。毎 年多くの市民がホタル観賞に訪れる場所こそ、道路線形上にあり直接的に影響することは明らかです。さらに道路建設による環境の変化によるヒメボタルへの影 響を十分調査しなければなりません。今後どのようにヒメボタルの生態調査をする予定なのか、お答えください。
「ヒメボタル調査」は、専門家会において、これまでの調査がオアシスの森
の散策路を中心に実施されていたため、線形を検討するためには、森全体のヒメボタルの分布状況を調査すべきであるとの意見を受け実施しました。その結果、森全体に生息していることがわかりました。今後も、「施工ワーキング」においてヒメボタル分布調査を実施し、道路照明等の対策を検討していきたいと考えています。

9.名古屋市は、道路建設を推進するに当り、「市民とのパートナー シップ」を謳い「施工ワーキング」を進めています。しかし、この「施工ワーキング」には、道路建設に反対する人は参加資格なしとの条件がついており、また 傍聴も許されません。今一度お尋ねします。「施工ワーキング」の目的は何ですか、何のために行っていますか、また、要した費用及び以後開かれる予定・内容 をお答えください。また、「施工ワーキング」で専門家の発言内容の全てを提出ください。
「環境に配慮した道づくり」施工ワーキングは、弥富相生山線の施工にあた
り、きめ細やかに環境への配慮を行うために、市民、専門家、名古屋市、施工者が協働のワークシステムを組み立てながら、環境に配慮した道づくりを実現することを目的としています。また、今後とも原則として月1回程度の活動とする予定で、施工計画・工事仕様・環境保全工法・環境調査方法の検討、施工状況の確認、その他「施工ワーキング」として必要なことを実施していきます。「施工ワーキング」の開催にあたって平成16年度は、専門家への謝金及び交通費を支出しています。専門家の発音内容は、議事録をとってはおりませんが、発言の概要につきましては「施工ワーキングのススメ」に記載しております。

10.名古屋市都市計画審議会(1月26日開催)において、名古屋 市は、道路建設について「地元3学区につきましては、8割が早期整備を望んでいる」との説明をしており、出席者の一委員もこれに基づく発言をしています。 名古屋市が説明する地元3学区の住民は全員で何人ですか、その内、早期整備を望んでいる地元住民は、何人ですか、お答えください。
名古屋市都市計画審議会においては、「平成12年9月にいただいた建設の
中止と促進の要望書のうち地元住民である山根、相生、野並の三学区の方をピックアップしますと、建設中止の方の署名は1,900名で、建設促進の方の署名は6,700名となっており、この数字で見る限り、地元三学区の皆さんにつきまして約8割の方が早期整備を望んでおられると考えています。」と説明しました。                (道路建設課)

以上10点、7月28日(水)までに、項目ごとに書面にて、ご回答 くださいますようお願いいたします。



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